リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「睦斗!?」


なんてこったい、睦斗がこのタイミングでカミングアウトしちゃったよ。

でも、なんだろう。真っすぐ付き合ってますって言ってくれて、すごい嬉しい。


「ウソだろ!?」

「へ?あれ……龍ちゃん知らなかったの?」


驚きすぎてるお父さんより先に、声を発したしたのは龍ちゃん。


「知らねえよ!いつの間に手玉に取りやがった睦斗!」

「あの、これも言ったはずなんですけど」

「マジかよ、ハアァ!?」


ひとしきり驚いて「ウソだろ……」と挙動不審にブツブツ言ってる龍ちゃん。


「フッ……ハハハッ!」


すると突然、高らかに笑う声が響いた。


「お、お父さん……?」

「本当か!?優凛、睦斗と付き合ってんのか!?」

「う、うん」

「ハハハ、こりゃ参った。
そーか、優凛が可愛くなったのもそのせいか!睦斗の彼女か!」


実に楽しそうに笑うお父さん。

さっきから喜怒哀楽が激しすぎてついていけない。

私もネジが外れてるから人の事言えないけどね。


「……嘘ついたのは悪かった」

「……うん」

「そうか、思い出したわけじゃないんだな」

「え?」

「雷さん、その話は……!」

「分かってるって、心配症だな龍は。
……優凛、ごめんな今まで黙ってて」


『思い出したわけじゃない』って?

その言葉が気になったけど、お父さんは揺れる瞳を見て考えるのをやめた。

でも別にお父さんが悪いわけじゃない。

あの日から、周りに触れようとしなくなった私が悪い。



『夢……愛してるよ』


そっと囁いたお父さんの眼には涙が光ってて、私は無感情にそれを眺めてた。


『夢……!』


お母さんの名を呼び続けるお父さん。

苦しそうだった。

でも私はどうしてか何も感じなくて、涙も出なかったんだ。

これはいつの記憶だっけ?

大事な記憶なのに、思い出せない。