リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

いざ身を乗り出して、扉の奥へ進むと、そこは真っ暗。

ただ、一筋光が漏れているところがあって、次第に暗闇に目が慣れてくると、ドアのようなものが視認できた。

むむ、扉の中にまた扉か?

そうっと近付いてドアノブを掴み、辺りを警戒しながらゆっくりと回す。スパイみたいだ、とドキドキする胸を押さえながら、数㎝開けて光の差し込む先に視線をやった。


「……久し振りだな、睦斗」


すると、シンとした空間に響く静かな声が聞こえた。

そこは、いつかお邪魔したロビーらしきところ。

酒場のような造りの部屋には、今日も雷神達が集まってて、ここからはいくつもの背中が重なって見える。

ところでさっき睦斗の名を呼んだ、渋くて張りのある声。

こっから偶然にも姿が見える彼は。


「懐かしい……変わってねえなここは」


長身の黒髪で、パッチリお目々のダンディーなイケメン──って間違いない!お父さんだ!!


「雷さん、お久しぶりです」

「おう、見ない内に立派になったな。
雷神もだいぶ規模を拡大してきた言う話じゃねえか」

「おかげさまで……」


お父さんの姿しか確認できないけど、睦斗と会話してるんだってことは分かる。

睦斗が敬語使ってるから、やっぱりお父さんはその道のトップだったんだ。

今さらだけど、信じられない。

なんで私はそれを知らなかったんだろう。