リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-





「ありがとうございました!」

「おうっ!追っかけてる人見つかったらいいな!」


タクシーのバックランプを横目で確認しながら、道を駆け出した。

この通りを横切れば、アジトのビルに辿り着く。


『すいません、追ってる人がいるんです!』


あれは、かれこれ5分前くらい。

何にも考えず外に出た私だけ、走って行けるような距離じゃないし、場所も1回お邪魔しただけだからイマイチ覚えてない。

ということでタクシーを拾ったところ。


『何!?お嬢ちゃん急用かい?』


ノリのいい人が運転手さんで、場所を伝えたら快く乗せてくれた。

そして黒塗りのビル、アジトの前にたどり着いた。


「むっ、あの車は…!」


探偵気分で辺りを見回すと、案の定お父さんの車を発見。

停車している車体に、急いで駆け寄って触ってみると、まだ温かい。

きっと今降りたばっかりだな。

じゃあ私も早くビルの中に潜入しないと。

でも堂々と入るわけにはいかないからどうしようと思ったその時。


「裏口……?」


外壁の一部がへこんでで、黒く塗られたはずの壁が光ってる。


「ドアだ!」


急いで正体を確認したところ、予想通り銀色のドアノブと、鉄製の扉が姿を現した。

どこに繋がってるのかは分からないけど、考えてるヒマはない。

意を決してドアノブを掴み、右に回し扉を引く。


「開いてるじゃん、ラッキー!」


勝手に潜入しようとして、ちょびっと罪悪感にさいなまれるのは置いておこう。

今は真実を知るのが先だ、待ってろよお父さん!