「優凛」


不意に、透きとおった声が響いた。


「睦斗?」


顔をあげれば、間違いない。

守護神、破壊神、鬼神、荒神、悪鬼──は畏怖を覚える異名の持ち主を束ねる、威風堂々たる姿がひとつ。

老若男女問わず憧れる、大きな器の持ち主。

彼は雷神11代目総長。この街の支配者。

見とれていて気がつくと、睦斗は私の目と鼻の先に立っていた。


「……やっと見つけた」


なんでこんなところにいるんだろう、と思ったら陸斗はふわりと笑った。

綺麗な瞳、眩しすぎる笑み。

こんなキラキラした笑顔を間近で見たら、心臓が飛び跳ねて制御が効かない。


「……おっ、おはよう!」


だから噛みながらも、自分自身を落ち着かせる為に睦斗に向かって挨拶。


「……ん、おはよ」


だが間違いだった!

満足気に私を見て、目を細める彼。

ええっ、かっこいい……早くも骨抜きにされて気分だった。