昨日の?って、なんで私のこと覚えてるの?

急ごしらえとは言え、男装してたのに!


「あ?総長、そんなとこで何してんだよ!」

「え……?」

「囲んでたのに急にいなくなったと思ったら!…まさかのナンパかよ」


わらわらと走ってくる5人のヤンキー。


「って、その女!?よりによってそのブスはないって!」


いやいや赤髪、そんなでっかい声で言うな。周りに丸聞こえじゃん。


「……お前、昨日俺と会ったよな?」


てかこの人が総長なの?だとしたら最悪だ。

総長って──極悪非道の“暴走族”のトップだよね。

こう言う人に目つけられたら、殺されるよね?ヤバイよね?


「聞こえてっか?顔真っ白だぞ」


ああ、もうダメだ。


「ギャニャー~~!!!??」


いろんな感情が爆発して、キチガイな声が出た。

私は叫んだと同時に、校舎の中へ飛び込んだ。

すれ違う生徒になんだなんだと不審者を目撃したような顔をされながら、行く先不明でひたすら突っ走る。

頭の中ではこの4文字、“終わった”が永遠にリピートされていた。