「……話は後だ。こいつがどうした」


睦斗は彼らの興味本位を後回しにして、人だかりへと接近した。

近づくにつれ、周りにいた人たちは睦斗に道を開ける。

ついて行くと、その中心に龍生がいた。


「……こいつが口を割らねえ」


那智が不機嫌な顔で龍生を射るように睨みつける。

この様子だと、龍生は始終沈黙を続けているんだろうなと思った。


どうして龍生?

あなたは何も悪い事してないよ。

複雑な心境で、未だ耳を傾けようとしない龍生を見つめる。


「……白夜の脳」


沈黙が深まり、睦斗が呟いた。

するとほんの一瞬、龍生の肩が揺れた。


「お前……優凛を使ったのか?」

「……」

「白夜を潰すために優凛を利用したんだろ?」


睦斗が静かに尋問しても、龍生はむしろ視線を逸らすばかり。


「おい、いつまで黙ってるつもりだ」


その時、誰かが口を開いた。