side 優凛


すっかり日の落ちた暗闇を探れば、闇より濃い漆黒がそびえている。

一棟のビルが目前に姿を現した。

それこそが雷神本拠地。堂々たる支配者の住処。

ここは雷神が治める中心。

月の光をバックに内部に入ると、突然怒声が響き渡った。


「黙りこんでんじゃねえ!」


何事かと目を見張れば、ほのかな明かりの中、中央に群がる人の群れが。

その中心に龍生がいた。

両手首は後ろ手に縛られてパイプイスに座らされ、ずっとうつろな目で床を見つめてた。



「お前いい加減にしろよ!

「璃輝」


激昂する璃輝さんの肩を叩く睦斗は至って落ち着いている。

総長である睦斗。

彼が澄んだ声で威圧させれば、静寂が広がる。


「睦斗?帰ってきたのか……って、え!」


声の居場所をたぐり、首を回した璃輝さんは、大きな眼をさらに大きく見開いた。


「あらら、その様子だと……ふーん」

「うええっ!マジでくっついたんすか!?」


桜汰先輩が場違いなリアクションをして、悠が物珍しいものを見るような目をする。

なんだよ、恥ずかしいじゃんか。そんなに見ないでよ。