リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「結構です!間に合ってますから!」

「嫌だったか?」


突然の言動にあからさまに拒否すると、睦斗が眉尻を下げて私の目を覗く。


「違う、違うよ。そうじゃなくて……胸がいっぱいなので」


懸命にそれを否定すれば、何を今さらと思いつつも、顔の温度が急上昇する。

ゆでダコにでもなってしまった気分だ。


「恥ずかしいだけ?なら問題ない」


しかし睦斗は身を引くどころか、距離をゼロまで縮めようとしてきた。


「はぁ!?ちょっと待とうか!待って……!」


だから、恥ずかしいんだってば!

さては睦斗、キス魔か!?

どうしようどうしよう……あ、そうだ!

必死に考えたその時、ある人物のことが引っかかった。


「ねえ、龍生は!?」


唇が触れる寸前、それが声となった。

幸せに浸っているヒマはなかった。

私はまだ、龍生を救えないままだったのだから。


「龍生はどうなったの?ねえ睦斗…」


ふと顔を上げると、先ほどの観音様みたいな笑顔はどこに行ったのか、阿修羅みたいな恐ろしい睦斗がいた。