「優凛……なんでお前がそいつをかばう必要がある」


怪訝(けげん)に顔を歪める仕草に、思わず身を固めた。

怖いんじゃなくて、私の後ろにいる存在を気にかけての動作だった。


「龍生は違う。何も悪いことしてない」


龍生に被害が及びそうで怖かったんだ。

自分を偽ってまで、守ってくれた龍生を。


「優凛ちゃん、そいつは友達だったかもしれないけど……間違いなく黒幕だよ」


優しい口調で忠告する桜汰先輩、見たことないくらい冷たい感情を剥き出しにしてた。

声を出さず首を横に振る。


「……白夜の脳はそいつだ。早くこっちに渡せ」


那智は苛立って一歩足を出す。

沈黙を続けていた私だけど、那智の不満げな態度に危険を感じて、ついに声を発した。


「違う!お願い聞いて。龍生は…――」


(せき)を切ったとたん、肩を掴まれた。