「ライジン、ライジン……?」


漢字で書くと“雷神”かなって思った。

なんのことだろう──って言ってもなんとなく察しはつく。

暴走族とかそっち系のグループだなって。


「ウソ、後ろ見てて気づかなかった!アレ颯様じゃない!?」

「ちょっと写メ!撮らなきゃ絶対損するって!」

「あぁっ、噂通りかっこいい!」


右からも左からも流れる黄色い声の中、悠々と彼らは歩みを進める。


「……なんじゃありゃ!?」


そこでようやく、驚愕の光景を確認することができた。


「颯様~!」

「悠、こっち向いてー!カワイイ!」

「ヤバい雷神カッコいい!!」


さっきから後方で引っ切り無しに聞こえてる歓声。

女の子がこぞって突っ込んでいく人だかりの中心。

息を飲む煌びやかな集団に、完璧に目を奪われてた。

ためらいなく合流した、赤髪に銀髪紳士に加え、メッシュ入れてる男とか、ツーブロで目がギョロってしてる男とか。

うわ、絶対ヤンキーじゃん。


「ひい、ふう、みい……5人?」


ヤバそうなのが5人か。

断然、そこら辺たむろってるチンピラより強そうだね。

そこで詳しく5人を分析しようとした。


「てめえらギャーギャーうるせえ!総長のお通りだ!」


けどその集中力は、この一言によりかき消された。

あの調子乗ってる赤髪が大声を上げたから。

ところが“総長”のワードに、歓喜の悲鳴をあげる取り巻きの女の子たち。

総長だと?嫌な予感しかせんぞ!