遠くからバイクの音がする。

今なら分かる。睦斗と出会ったあの日。

街を駆け回っていたのは、雷神だったんだ

今も確かに響くこの音は彼らの轟き。

この界隈の支配者である、雷神たちの証。


「なんだ……これ」


地響きを引き起こすほどになった感覚に、ざわめく人々。

身体の隅々にまで響くバイクの鼓動。


「うらああぁぁ!」


そしてついに、単色の空間をブチ破るきらびやかな色が飛び込んできた。

壁、という名の障害物をもろともせず、突っ込んで来た一台のバイク。

勢いよく突撃してきたせいで、トタンの壁が四方八方に散乱する。

同時に砂煙が立ち込める。


「……白夜の本拠地はここかぁ!!?」


気持ちいい位の威勢のいい声と共に、真っ赤なバイクが目の前を横切る。


「雷神特攻隊長!藤堂璃輝!一番乗りぃ!!」


戦国時代さながらの名乗りを上げたのは、我らが特攻隊長・璃輝さんだった。

な、なんてこった。

壁破って突っ込んで来やがった!