「……龍生?」


反応はない。

すると流威が金切り声を上げた。


「……強さ?力?そんなもん関係ねえ。数の暴力ナメんなよ!」


仲間を得たことで、勢いが戻ってきたらしい流威。

けど残念。今のセリフ全然カッコ良くない!


「残念だったな龍生。大体お前が裏切ろうとこっちには影響を受けねえ。
無駄足ってやつだよ!ヒャハハハ!!」


分かった。私、こいつの笑い方が嫌いなんだ。

ヒャハハって、下品にもほどがある。


「……来たな」


その時ついに、龍生が顔を上げた。


「え……?」

「これでもう安心や」


ふわりと笑った龍生の顔にも、安堵の表情が見られた。

何が安心なんだ?

と、考えた時、私の感覚がそれを感じ取った。

それは聞き馴染みのある音だった。


「てめえら、遠慮は要らねえ!こいつらをやっちまえ!」


迫真のひょうじょうで号令をかける流威。

けれど、それに従う者はいなかった。

なぜなら。


「……おい!何してんだてめえら!さっさと……ん?」


流威が周りの異変に気付くころには。

誰もがこの“音”に魅了されていたから。