リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「けっ!命拾いしたなブス」

「……あ?」


おっと、銀髪紳士に見惚れて忘れてた。

すれ違いざまに絡んできた赤髪のこと。

さっきからなんだ。紳士と15cm近く身長差があって、チビっこいし口が悪い。

隣の銀髪紳士の弟分だかなんだか知らないけど、調子乗っってんじゃないよ!


「へっ……隣の紳士見習えよ、おサルさん」


目に余る言動の数々に、うっかり口が滑る。

ヤバイぞと口を塞ぐけど手遅れだ。


「んだとこのくそアマァ!」


赤髪は掴みかかってこようと、腕を伸ばしてきた。

あと数センチのところまで迫った手。

避けようとすると、運よく銀髪紳士が止めてくれた。


「悠……口が悪い」

「颯さん!今のはコイツが悪いですって!
聞きました!?サルって!」

「“雷神”の一員なら無駄な争いはするな」


静かな瞳で叱り、赤髪の首根っこを掴んだまま、彼は颯爽と歩いていった。


「……ラ、ライジン?なんだそりゃ!」


私に疑問を残して。