リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

──ザシュッ


音がした。

ナイフの刃によって、何かが引き裂かれる音。

無情にも広い空間に響き、痛みを連想した。


でもおかしい。痛みが、まるで無い。



「……なんてな」



声に反応し、ビクリと肩が揺れる私の動作は、恐怖からの伝令じゃない。

それはありえないことが起きたことによる驚きだった。


「お前を傷つけたりなんかせえへん。
俺はずっと前から……お前の味方や、優凛」


だって龍生の声が、今まで聞いた中で一番優しかったから。

固く閉じていた目を開けると、手を拘束している感覚がゆるんでいることに気がつく。


「悪いな優凛。勝手に縛ったりなんかして。
けど、もう大丈夫や」


何か起きているのか全く理解できなかった。


「龍生……?」


龍生は手に巻かれたロープをナイフで素早く切り裂いて、私の手を自由にした。

何をしているの?あなたは敵なのに。

呆然とする私をよそに、彼は次に足枷となっているロープをつかんだ。