リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「残念、ちょっと俺が遊ばせてもらうわ……」


絶望の(ふち)で、金属の擦れる音がした。

無意識に顔を上げる。


「……殺しはせん。ただ、ちょっと惨めな姿になってもらおうか?」


龍生の手にはサバイバルナイフがひとつ。

刃渡りは10㎝近くあって、刃先は私に向けられてた。


「おい龍生!てめえだけで楽しもうとしてんじゃねえよ!」

「安心せえ、このあと好きにやらせたる」


……もう、ダメだ。

あれ?この気持ちはなんだっけ?

泣きたいと思う気持ち。

違うな、これはなんだろう。

ぐるぐる、くるくる、世界が回る。

考えてはいけないことに触れようとしてる。


「顔は可哀想やからなあ、ひとまず腕と足から行こうか?」


しゃがみ込み、目線を合わせる茶色い髪。

私は今考えてることも全部投げ出して、目をつぶった。

全てを諦めてしまったんだ。

ごめんね。お父さん、達綺。

もう今の私じゃなくなるかもれない。

ごめんなさい睦斗。

守ると言ってくれたのに……。


「……雷神に気に入られたのが運の尽きや。それじゃあな、優凛」


凶器の冷たい感覚が、私の肌に触れた。