振り返れば、見上げるくらい大きな人。

思わず「デッカ……」と口に出てしまった。


「……あん?おいてめえ、失礼だろうが!邪魔だからさっさとどけ!」

「は?」


トゲトゲしい声は、決して目の前の人からではない。

その後ろ。ひょこっと現れたひとりの男子。

真っ赤な髪に、ぱっちり二重の可愛らしい顔をしていた。


「聞こえねえのか!?どけっつってんだよ!」


けど、何こいつ。赤い髪だからって調子に乗ってんの?

上等だコラ!


「やめろ(ゆう)……怖がってるだろうが」

「ハイ!?(そう)さん何言ってんすか。
コイツ思いっきりガン飛ばしてますよ!」


あらら?飛ばしてるつもりはなかったんだけど。


「悪いな……」

「いえいえ……」


紳士的な態度で謝り、私の横を通り過ぎていく彼。

よく見たら──かなりのイケメン。

180は越えてると見られる長身。

朝日にきらめく銀髪に、すっと通った鼻筋。

こんな人、本当にいるんだ。ドラマの俳優みたいにかっこいいヤンキー。

しかも割と紳士。

うむ、“銀髪紳士”って呼ぶことにしよう。