「気分はどうや、優凛。
まあ、最高とはかけ離れてるやろうけど」


普段と変わらない素振り。

でもそれが嘘の顔なんて信じたくない。

友達だと思ってた、優しかったはずの、龍生が敵だったなんて。


「雷神が本格的に護衛に入ったんは焦ったけど……なんや、案外簡単に捕まえられたなあ」

「……え?」

「正直もう諦めてた。優凛を攫えるチャンスはないって」


なぜ龍生が白夜に加担する必要があるの?

本当に裏切り者なの?


「……なんで?」


その疑問は、自然と言葉になった。

あまりにも小さくて自分で驚くほど弱々しい声だった。


「なんで?そんなん理由は簡単や。
俺が雷神と敵対関係にある白夜の一員だから、そんだけや」


龍生が白夜の一員?

龍生は雷神に憧れてるんじゃなかったの?

嬉しそうに語る姿は、全部嘘だったの?演技だったの?