───ギィ

その時だ。重苦しい音と共に、外部の空気が流れ込んできた。


「おい、もう目ぇ覚ましてんじゃねえか」


自由の利かない体で声に注目すると、太陽の光が見えて目が眩んだ。


「よう、安西優凛。残念だったな。
結局お前は計画通り、囮になったってわけだ」


2人の男を両脇に待機させ、嫌な笑みを浮かべる白い髪。


「流威……!」


そうだ、思い出した。

私はこいつらに捕まえられたんだ。


「あ?誰を呼び捨てにしてんだよ……気に入らねえ」


いや、違う。この3人じゃなくて私を捕まえたのは龍生だ。

龍生はいったいどこに?


「……その顔殴ってやったら大人しくなるか?」


殺気を含む声が近づいてくる。

さすがの私も拘束されていたら反撃はできない。

……逃げなきゃ。でも、どうやって?


「流威……この女でストレス発散しても何の効果もないで」


お互いの距離が1メートルと満たないところで、不意に声が聞こえた。