「はーい、優凛ちゃん」


落ち込んでると、背後から桜汰先輩の声が。


「なんでしょうこれ?」


片手で何かを持ち上げる桜汰先輩。

古びたネックに傷だらけのボディ。

弦は5本あるけど、全部ゆるんで今すぐ弾ける状態じゃない。

……って、これ。


「……ギター!?」


呟いてみて、大量の汗と疑問が生じた。


「……なるほど、いいな桜汰」

「だろ、睦斗?優凛ちゃんは歌ってる時が一番輝いてるからさ。
気分が沈んでるなら歌おう」

「い、イヤダ!」

「えー、なんで?」


何で、って桜汰先輩!訊かなくとも分かるでしょ!?

ヤンキーたちが醸し出す息の詰まるような空間で、誰が歌ってリフレッシュ出来るか!

まず、どっからギターが出現したんだ!