「知ってるなら尚更だ。
どれだけあの人が“子どもたちが普通に生きられるように”尽力したと思ってる。
その苦労を水の泡にする気かよ」

「だからと言って何も伝えず、閉じ込めたままにする気ですか?」

「……優凛に何かあってからじゃ遅いんだよ」


何かあってからって……龍ちゃん私の強さ知ってるでしょ?

そう言いたかったけど、龍ちゃんの表情がとても深刻だったから口を挟めなかった。


「優凛、帰ろう。仕方ないから俺が送ってやる」

「……嫌だ!」


だけど繋いだ手の反対方向を掴まれた時、私は声を上げて拒否した。


「……優凛?」

「睦斗は悪くないよ、だってここにいるのは私の意思だから」

「……冗談だろ?俺は優凛を不良に育てた覚えはねえ」


厳しい口調で問い詰める龍ちゃんだけど……変だぞ?

私は龍ちゃんに育てられた覚えはない!

それにね、龍ちゃん。


「私は不良じゃない!なるつもりもない!」

「じゃあなんでこいつらと一緒にいる?」


なんで?そう言えばなんでだろう。

商店街で助太刀したのをきっかけに知り合った睦斗。

学校で歌ってたのをきっかけに顔見知りになった雷神。

共通点はなんだ?と考えたらふと思いついた。