リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「優凛!」


突進する勢いは私の目の前で止まった。

そしてゆっくりと手を差し伸べ、優しく抱き起こして四つん這い状態から解放してくれた。

そのまま私を片腕で抱き上げ、仁王立ちで雷神の幹部たちに睨みを利かせる。

みんな初めて見る表情をしてて、切迫した空気が張り詰める。


「てめえら……」

「おっ、下ろして龍ちゃん!」


しかし空気の読めないニブい私は空気をぶっ壊してしまった。

とにかく恥ずかしかったんだよ。

16歳になるってのに幼女のように男の人に抱きかかえられるとか。

龍ちゃんはそんなことを気にしないから、今でも出会ったら抱っことか当たり前にしてくる。


「ああ、悪い優凛……クセでな」


そっと下ろしてくれた龍ちゃんは目線をすぐ雷神のみんなへ戻し──


「てめえら…誰に手ぇ出したのか分かってんのか!」


ヤンキーも震え上がるような怒気をむき出しにした。


「誰だ!優凛を無理やり連れてきた奴は!」


その気迫に肩が跳ね上がる雷神のみんな。

当然ながら私も、龍ちゃんの豹変にビビっております。


「……俺です」


誰も恐怖に恐れおののいて動けないかと思ったけど、さすが総長。

睦斗が一歩前へ出た。