「ああ、それは俺のだ」

「そうなんだ!近くで見てもいいですか?」

「別に構わねえよ」

「ありがとう!」


6台のうち、1番存在感のあるバイクに近づく。

黒がベースの塗装に、マフラーやタイヤのホイールが金色のバイク。

どこか雷神を思わせるような風貌は、一瞬にして私の心を掴んだ。


「乗るか?」


彼は目を合わせ、うっすら笑いながら首をかしげる。


「えっ……いいんですか!?」

「……やっぱダメだ」


……なんだ。やっぱり冗談か。

乗せてくれるわけないと思ってたはずなのに、心は思った以上にショックを受けていた。


「そんな顔すんな。乗らせねえってわけじゃない。ただ……条件がある」

「条件?な、なんですか?」


調子に乗らないように慎重な顔で尋ねると、睦斗は目を細めて睨んできた。


「いい加減名前で呼べ。それから敬語なんて使うな」

「ひっ…ハイ!うん!!」


思わずはいって返事しちゃったけど、早速うんに変換。

てか、それを言うだけのために怖い顔しないでよ。

心臓に悪い。