「ゼェ、ハアッ……ハヒー!」


思いっきり息を吸いこんでその場に倒れ込んだ。


「ハア、ああ……やっぱり、今日の青空、綺麗」


現在屋上のど真ん中。

逃げながら回らない頭で考えた末、屋上が一番安全と気づいたのだ。

雷神以外はこの屋上には上がって来ないから。


「……あら?」


体を起こすと、急いでいたせいだろうか。

私から見える範囲に、さっきはなかった影があった。


「……那智?」


名前を呼んでみたけど、反応はない。

そこに居たのは無口でミステリアスな金メッシュ、月島那智。

フェンスに寄りかかって座ってる。


「……寝てる?」


よく見れば反応がない上に動かない、熟睡してるのかな。


「おーい……なっちさーん」


好奇心なのか何なのか、私はいつの間にか那智に近づき、観察を始めていた。

目をつぶったことによって強調される長いまつ毛。

薄い唇はなんだか色気があって、なんだろう。



……キスしたくなる。


「って私は変態か!!」


自分自身にツッコミ、頭を抱える。

しかし煩悩を断ち切ろうとしたその行為は、間違いだったようで。


「……誰だ、てめえ」

「ひえっ!?」


どうやら彼を起こしてしまった模様です。