「……母さんが生きてたら、こうはならなかったかな」


あの日を境に姉ちゃんは───


「いや、やめようこんなこと考えるの」


こんなこと悩んだって解決には繋がらない。

だから俺は決めたのに。

あの日、あの土砂降りの雨の中で。


「……俺が守るってさ」


もうあんな思いさせない。

もうあんな顔させないって決めたんだ。

自分勝手かもしれないけど、それが俺に出来る精一杯。

“姉ちゃんが姉ちゃんであり続けるため”の唯一の立て札になってやろうって。


「だから姉ちゃん。もっと笑って……もっと歌ってよ」


いつまでもどこまでも、優しく凛々しく、輝いていて。