彼は小さく肩を揺らして耐えられないといった様子で笑う。
 サラサラの黒髪が上気した頬にかかり、双眸に散った宝石を砕いたかのような金の光彩が潤みを帯びて煌めいた。

 もしかして、は、初めて心からの笑顔を見せてくれた……?
 あ、うわ、あっ。胸がいっぱいというか、なんだか、あわわわ、どうしよう……!!!!

 居ても立っても居られない幸福感が胸を熱くする。なんだろう、この気持ちは。アルトバロンがかわいすぎるからかしら?
 ぎゅうっと締め付けられるほどの幸福感にびっくりして、私は胸を両手で抑える。

「お嬢様にはかないませんね。僕が想像したことのないような案ばかりで、そうですね……お嬢様の言葉を借りるなら『夢しかない』です。……僕の固有魔法は、お嬢様にとって有益なものになり得そうですか」
「有益なんて言葉じゃ表せないくらい、あなたの固有魔法は世界で唯一の素晴らしい魔法よ。我が家のみんなに自慢した方がいいくらいっ」