「アルト、いる? 大変なの! 久々にメローナ様からのお呼び出しが来たわ!」
「おはようございます、お嬢様……!?」

 朝起きて一番に、『おはようございます』とエリーが声をかけてくれるのより先に届いたお手紙を掴み、私は寝衣姿で部屋の扉を開ける。

 夜勤の護衛騎士と交代したアルトバロンが、エリーが来る一時間以上前からそこに立っていると知ったのは、こうしてメローナ様からの急な呼び出しが早朝に来るようになって、しばらく経ってからだった。

 アルトバロンは部屋から突然出てきた私の姿を認めると、肩を下げながら息を吐いて、彼の着ていた上着を脱いだ。それをぱさり、と両肩にかけられて私は目をぱちくりとする。

 自然と見上げる形になった私と目があった瞬間、彼は困惑気味にそっと視線を外した。

「エリーを呼びますので、まずはお召し替えを。寝衣のまま部屋を出られては困ります」
「あ! ごめんなさい、ついうっかりしちゃって」