「そこまで言うのならば――罰として、お前には一ヶ月の(いとま)を出す。ティアベルの護衛は他の者に任せる。それがお前への罰だ」

 お父様は悪役顔でふっと笑うと、部屋から出て行った。

「一ヶ月の、暇……」

 唖然としていたアルトバロンはぐっと唇を引き結ぶと、毛布の上に出ていた手を握りしめる。
 確かに、責任感の強いアルトバロンにとって従僕としての立場から強制的に離されるのは、重い罰かもしれないなぁと考えながら、私は部屋にあった椅子を運んできて彼のそばに座った。

「今日はもう、このままゆっくり休んでね」
「……ありがとうございます」

 もふもふの狼耳がへなりと元気をなくす。



 ふたりきりの部屋で沈黙が降りる。
 私は後悔と罪悪感でいっぱいの胸をぎゅっと押さえつけながら、重い口を開いた。