優しく夢のように丁寧な口調で、物騒なことを彼女は言った。

「あ、あの? 聞き間違いでしょうか? 今、隷属魔法で魔力を縛る……って聞こえたのですけれど」
「ええ、言いましたよ。隷属魔法は主人に反抗できないよう、徹底的に魔力を制限できる魔法です。魔力量も測定してみましたが、アルトバロンさんの場合は半分くらいにしたって、常人以上です。宮廷魔術師団を目指せるレベルです。ティアベル様、素敵な従僕を持ちましたね。誇っていいですよ」
「は、はあ……」

 メローナ様の謎の説明に気圧され、つい生返事になる。

「今、縛られます?」
「へ?」
「ちゃちゃっと隷属魔法で契約を結んでみてください。このメローナが、アルトバロンさんの魔力が暴走しないように見ておきますから。その後にちゃんと健康診断もできますし、名案です」
「……い、いや! 嫌です! 隷属魔法で魔力を縛るなんて、絶対しませんっ!!」