美利とは言えば、相変わらず三人に言い寄られている。

 竜とのわだかまりが解消した後和巳に『くーの落ち込んでいた顔も晴れてきたな』と言われた。

 やはり大好きな四人と行動できることがとても幸せなのだ。

 また事件前のように楽しくバカ騒ぎが出来ていることにほっとしている。

 そんなことを考えながら教室内に散らばっている四人を眺めてみたり。

 眺めていたが特に面白みもなくなってきたので机の上に広がっていた教科書を片付け始めた。

 『次の授業は地理か…』

 教科書とノートを取り出し、椅子をゆりかごのように揺らしながら次の授業を待つ。

「くー、智樹から差し入れ」

 琢己が近付いてきて美利に差し出したのは先ほど貰ったであろうパウンドケーキだった。

「ん」

 頷いて受け取った。口に含む。

 『うん、おいしい』

 竜と和巳も近づいてきた。
 他愛ない会話をする。