「竜!!!」



 竜の身体が波打つようにビクンと一瞬動いた。

 『智樹が来てくれた?』


 竜を剝がすように投げ捨て、顔を赤らめながら美利の服装を直した。

「大丈夫か?」

 美利は返事が出来なかった。

 寝転がった状態から動くことが出来なかった。


 ただその目から涙を流すことで吃驚したことを伝えるほかなかった。

 智樹は美利を起き上がらせ木の根元に座らせるとそのまま竜の元へ移動する。

「――おい」

 竜は無言のままだらりと地面に座り込んでいる。

「おい!!」

 智樹は竜の胸ぐらをつかみ叫んだ。

「……何だよ」

 そういう竜の声には覇気がない。

 その言葉に怒りをあらわにした智樹は感情を剝き出しにする。

「てめぇ! 自分が何をしたのか分かってんのか?!」