「くー」

 教室を出てから廊下を少し歩き始めたところで後ろから自分を呼ぶ声が聞こえる。

 振り返るとクラスの行列の後ろの方で智樹が手を振って『ここだ』と意思表示をしている。

 美利は少しだけ列から離れ廊下の壁に背を向ける。

 列が進み智樹が近付いてくるのを待った。

「くー、今日は暇か?」

 並んで歩き始めると智樹から声が掛かった。

「今日? 学祭の最中?」
「いや放課後。暇かな」


 学校祭の期間中はそれぞれクラスでの出し物の準備などで忙しく部活動は全て休みになっている。

「そうだね、家に帰っても何も予定は無いから暇だよ」
 
「そうか、じゃあ一緒に帰ろうぜ」

 ポケットに手を入れたまま歩く美利に向かってやけに笑顔で話しかける智樹。