Side Sales clerk


「花菖蒲の花言葉は、『優しい心』って意味もありますよね??自分より、花を心配するあなたにぴったりだと思ったから。」


そう言いながら花を集める彼女に、理性が揺らぐ。



帽子を深くかぶっているけれど、よく見れば最近テレビで引っ張りだこの、“あの” 才女……気に入らないので、名前は忘れたが。



驚くほど色白な肌に、ほんの少し色づいた頬。ぷっくりとした唇に、整った鼻、茶色がかった黒色の澄んだ瞳。

…それにメイクを施された顔は、驚くほど綺麗で、可愛い。




メイクが施されていたとしても素顔も可愛いだろう、…絶対に。



世間に良い顔して、本当は裏では偉そうに威張ってるんじゃないかとか、思っていたけど…彼女は、本当に純粋な、賢い才女なのだろうと、今理解する。


花菖蒲を薦めてくるあたり、少し疑ったが、その花言葉まで知っていたとは。





…動作が指先まで綺麗で、容姿も性格も、才能にも。







俺はこの日、この女に惚れてしまった。




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