ジリリリリ……

もう少し寝てたいのに…

耳に響くアラームを何とか止めてもう一度、眠りにつこうと夢の中にいく…と思った時、


ガチャリ…と部屋のドアが開いた。

「…凛、何回アラーム鳴らしては止めてを繰り返してるの」

とドアにもたれかかった周が言う。

「もういい加減に起きないと遅刻するよ。」

そう言いながらじっとこちらをみてくるのは幼馴染の藤森周。幼稚園の頃からの付き合いで隣の家に住んでいる。

一見、クールに見えるけど喋りかければちゃんと話してくれるし面倒見のいい大切な幼馴染だ。

「…周…あと1分で起きる…」

「だめ、今起きないなら先に行くからね」

そんな会話をしているうちに私の脳は覚醒してきて体をベッドから起こした。

「…下で待ってる」

私も呑気にしていたらいくら走ったとしてもこのままでは遅刻してしまう…!
急いで私はベットから跳ね起きた。

バタバタと階段を降りアイロンを温めている間に洗顔、軽く化粧をして、制服を着て学校の準備をする。

こういう時、前の日に準備をしてたらよかったとか思うんだよね。

普段からギリギリの私はこうして早く朝の準備を済ませる習慣がついてしまった。



「いってきまーす」
誰もいない家に声をかけるのも寂しいなあ。

お父さんとお母さんは朝早くに仕事で家を出るため顔を合わせない。


「はやく、遅刻する」

「ごめんって、ちょっと手間取っちゃって」

「いつも手間取ってるから慌てた方がもっと手間取るぞ」


なんていうやつだ、とも思ったけど多分それは間違ってない。慌てるとどれを先にしたらいいか分からなくなって準備が遅くなってしまう。


それにしても暑い。まだ7月なのに…いやもう7月か…よく蝉が鳴くなぁと感心しながら朝から体力を奪われていく。あっ…みつけた…!
今日もお目当ての人を下駄箱で発見。

後ろからそっー…と近づいて…

「わっ!!なつ、おはよー!」

と肩を叩いてみれば

「ぎ、きゃっ!あ、凛か…毎度分かってるけど騙されるんだよね…、おはよ」

と半分呆れた笑顔が返ってくる。

この反応が面白くて朝会うと必ずと言っていいほど驚かしてしまう。

彼女は梨咲なつ。中学からの身長で大人っぽい見た目とは裏腹に子供のような無邪気な笑顔が特徴で綺麗という言葉が似合う。

なーんで、こんなに足と手が長くて顔がシュッとしてるんだろう…。考えたら私のまわりって顔の整っている人が多い…。そんな中での私って辛いなぁー。

「…ん!凛!聞いてる?」

…え?

なんの話してたっけ。

「あーごめんごめん、聞いてなかったわ」

「すぐに自分の世界に入っちゃうんだからー!」