クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

「亮子さん…ありがとうございます…！　何から何まで…」
「いいのいいの！」

泣きそうになりながらお礼を言うと、亮子さんは白い歯を浮かべて笑顔で首を振る。

「芽衣子ちゃんが来る前は私がやっていた仕事だから大したことないわよ！　それより、あいつ、今日はかなりお疲れのようだから、よろしくね！　あいつを心の底から癒せるのは、芽衣子ちゃんだけなんだから」

お茶を持っていくと、専務はすでに半分は平らげてしまっていた。

「お、お茶まで俺の好みだね！」

と、熱いお茶を飲み込むと、ふぅーと長く息を吐く。

「はぁ。やっぱり、長丁場の一日に美味い昼食は欠かせないな」
「…今日は予定がびっしりですものね。お疲れ様です…」

専務を癒せるのは私だけ。

そう言われても、私が一体何をしてあげられるのだろう…。
亮子さんのように専務のことを知り尽くしてもいなければ、基本的なことすらミスをしてしまう私が…。