クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

「うちは堅気な呉服問屋から始まったから和物の知識や扱いは十分なんだけれど、海外への対応がまだまだ未熟でね。亮子の海外生活仕込みの破天荒な経験や明け透けなコミュニケーション能力が無くてはならないんだ」
「なんか褒められてるのか貶されてるのか判らないわね」

事務能力やサポート能力に長けた高田さんと、語学堪能で海外の感覚に鋭い亮子さん。
専務にとって、完璧なタッグと言えた。
そこに私が入りこめるのか自信がないけれど、今更びくついたって仕方がない。
専務が少なからず私を認めてくれているのなら、私は私にできることを精一杯やっていくしかない。

「じゃあ、戦力もフルで揃ったことだし、来週以降の打ち合わせといこうか。まずは芽衣子くん、スケジュールを教えてくれ」

毅然と着席した専務を前に、私の今日の仕事が始まった。