クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

来客の予定は入っていなかったはず…と見やると、専務とスーツスタイルの女性が談笑しながら入ってきた。

すごく綺麗な女性だった。
グラマラスな身体のラインがはっきりわかるタイトなスーツ。短めのスカートから伸びる長い脚。綺麗に巻かれた艶光りする黒髪。
まるで、あの夜のクラブで専務を囲っていたような華やかな女性だった。

「おはよう芽衣子くん。さっそくだが紹介するよ。俺の秘書の一人で広原亮子くんだ。亮子、こちらが今週入ったばかりの岸芽衣子くんだ」
「初めまして芽衣子ちゃん、よろしくね！」

亮子さんは私を真っ直ぐに見つめると、真っ赤なルージュを引いた口を大きく開けて笑った。
こんなあからさまに口を開けて笑うのはあまり品が良くないのだけれど…歯並びのいい白い歯を見せて顔をくしゃりとさせる屈託のない笑顔は、健康的でとても素敵だ。

私とは真逆。
高田さんの言葉に納得する。
本当に、快活で自分を持っていそうで…私が持ち得ない魅力に溢れた女性だ。