クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

「そういえば、今日はもう一人の秘書が海外出張から戻ってくるのですけれど、岸さんは初対面になりますよね」
「え、ええ。そうですね」

高田さんは顎に手を当て、珍しく眉をひそめた深刻そうな顔をした。

「岸さんに合うかどうか…。あなたとは真逆のような性格をしていますからね、あの女は…」

あの女?
女性なんだ。

この高田さんの様子…なんだか気になるけど…。

「まぁ、岸さんには失礼に感じるような女ですが、根は良いやつです。よろしくお願いいたします」

と、微かに苦笑うように言われて、私は少しほっとする。
高田さんがそう信頼感を込めて言うのなら、きっと大丈夫だ。

いったい、どんな人なんだろう…。

「もう信じられない! 本気で言ってるの??」

突然、静かだったオフィスに聞き慣れない女性の声が響いた。