言われてみれば、専務と言えども次期代表取締役にしては秘書の数が少ないような気がする。お父様はたくさんの秘書がいらっしゃった。
「専務に就任してからは代表取締役―――専務のお母さまが指名された数名の方が指導役も兼ねて秘書に就いていたのですが、専務が全員解任してしまいまして。さすがの私も手が回らない部分は、専務自身が行っていました。経営業務と並行してどうにかこなしていたのには私も脱帽しましたが、二年こなせればもう十分です。もういい加減新しい秘書が必要だと思っていました」
「そうだったんですか」
「『自分の仕事に関することは自身で把握したい』と言い張っていたあの方が、自ら新しい秘書を採用したことには驚きましたよ」
と、高田さんの口元には微かに笑みが浮かんでいた。
初対面の時から気付いたけれども、高田さんは専務のことを話す時は表情が柔らかくなる。
専務のことをすごく慕っていて、大切に思っていることが伝わってくる。
そして、専務が私に言った高田さんをフォローする言葉から察するに、専務もまた同じように高田さんのことを頼りにしているのだと思う。
そんな厚い信頼で結ばれている二人の中に、専務自らが私を導いてくれたことがとても嬉しかったし、それだけにもっと頑張らないと身が引き締まる。
「専務に就任してからは代表取締役―――専務のお母さまが指名された数名の方が指導役も兼ねて秘書に就いていたのですが、専務が全員解任してしまいまして。さすがの私も手が回らない部分は、専務自身が行っていました。経営業務と並行してどうにかこなしていたのには私も脱帽しましたが、二年こなせればもう十分です。もういい加減新しい秘書が必要だと思っていました」
「そうだったんですか」
「『自分の仕事に関することは自身で把握したい』と言い張っていたあの方が、自ら新しい秘書を採用したことには驚きましたよ」
と、高田さんの口元には微かに笑みが浮かんでいた。
初対面の時から気付いたけれども、高田さんは専務のことを話す時は表情が柔らかくなる。
専務のことをすごく慕っていて、大切に思っていることが伝わってくる。
そして、専務が私に言った高田さんをフォローする言葉から察するに、専務もまた同じように高田さんのことを頼りにしているのだと思う。
そんな厚い信頼で結ばれている二人の中に、専務自らが私を導いてくれたことがとても嬉しかったし、それだけにもっと頑張らないと身が引き締まる。



