クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~




「岸さん、明日の会議に使う資料できましたので、専務に渡しておいていただけますか?」
「え! もう出来上がったんですか?」

と書類の束を渡されて、私は目を丸くした。
高田さんはクールな表情を崩さず眼鏡をくちと上げて、

「ええ。このくらいは大した量ではありませんよ」

すごい…。
圧倒的な有能さ…。
専務から『うちのAI』と称されているのも納得だ。

高い身長を黒スーツで固めているこの高田佳貴(たかだよしき)さんは、専務専属秘書の一人。

おもに資料作成や分析報告などの事務的な仕事を担っているけれども、専務に付き従って社用車の運転やスケジュール調整も行い、会議や会合での情報提供などのサポート業務も担っている。
私がいた店に専務と一緒に訪れたのも、この高田さんだった。

とにかく沈着冷静。頭脳明晰で機転も利く。
『高田がいなければ俺は何もできない』が専務の口癖だった。