クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

「君のことが、好きでたまらない。…でも慣れない業務を覚えようと必死の君にさらに俺が強引に迫ってしまったら、君を困らせてしまうよね。すまない」
「…いえ、そんな…」

言葉は掠れてほとんど声にならなかった。
専務の指が物欲しげに私の唇を撫でていて、苦しいくらいに胸が高鳴っていたから。

「とは言っても無理はだめだ。どうせ昨日も一昨日も残業したんだろう?」
「え…あ、はい…」
「今夜は帰った方がいい。車で送るくらいは許してくれるよね? 今日は俺の車で来たから、駐車場で待っているよ」

そう言い残して、専務はオフィスを出て行ってしまった。

私はその広い背中をぼうと見送ることしかできなかった。

専務の胸は、確かに早鐘を打っているように思えた。
でもそれ以上に、私の胸の方が高鳴っていた。

どうしようもなく、専務に惹かれていることを自覚せざるを得なかった。