クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

私より少し年上に見える男の人だった。

思わず目を止めてしまうのも無理ないほどに、魅力的な容貌をした人だった。

すらりとした背格好は、無地のインナーにジャケットというシンプルな格好なだけに、スタイルがいいことが分かる。
バーカウンターに背中をもたれさせて長い脚を組んでいるラフな姿勢でも、どこか気品のようなものを感じさせるのが不思議だ。

すっきりとした輪郭と太い首筋は男らしいのに、顔立ちは甘いという表現が合う端正さだった。
特に、長めの黒髪を無造作に顔周りに流しているのが、匂うような色気をかもしだしている。

そんな彼の魅惑に誘い込まれるように、まるで花を並べたかのごとく綺麗な女の人達が彼を囲っていた。

甘い雰囲気のアイドルのように可愛い女性から、露出が目立つセクシーな女性、スタイリッシュなモデルのような女性などなど…他の女性が入り込む隙など作らぬように、彼をびっしりと囲っている。

皆それぞれの魅力をアピールして彼の心を掴もうと躍起になっているのが、その笑顔からにじみ出ていた。

気後れを覚え異様にすら感じるものの、私はついその華やかな光景に見入ってしまっていた。

すると、不意に色気を振りまくように流していた彼の視線が、私のそれとぶつかった。

どきり、と胸が跳ねた。