クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

私は人形。

父の思い通りに生かされるだけの、操り人形だ。

どうにか独りで生きていけたって、どんなに自分に自信を持てたって、私の手足首には父が操る白糸がしっかりと締め付けられている。

その命を受けた瞬間、私の中で何かが弾けた。

もう私は、父に命じられるまま生きていたくはなかった。
父の望む通りに動くかわいいお人形ではいたくなかった。

父が理想とする大和撫子。貞淑で楚々とした無垢な女。

そんな自分を、目も当てられないほどに汚したかった。

だからあの夜、あの場所に行った。