クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

それどころか、私が成長するにしたがって家を空けがちになり、たまに顔を合わせても笑うどころか、ろくに話もしてくれなかった。

父は私が嫌いなんだ。

いつしかそう思うようになった。

どれほど努力しても、父は私を見てはくれない。
相変わらず母が亡くなった時のままの固く悲しい顔をしている。
むしろ、私が成長するにしたがってその影は深まっているようだった。

父の望むことはすべて身に付け吸収した。
父の理想の女性になれたつもりでいた。

やっと認めてくれる。
やっと私を受け入れてくれる―――そう思ったのに、大学卒業を控えた私に言い渡した父の命は、これまで従順であった私にとって予想外に冷徹なものであった。

社会に出て自由に生き見分を深めろ、と。