クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

小さいころから私は習いものに明け暮れ、父が喜ぶことならなんでも行った。

言いつけ通りに父が求める教養を極め、理想の女性になるために生きること。
それが娘である私に父が求めたことだったからだ。

とは言っても、父は昔からそうだったわけではなかった。

私が物心ついた頃は―――母がいた頃は、一緒に遊び、わがままにも目をつぶってくれて、子煩悩でむしろ私に甘い方だった。

けど変わってしまった。

そうなってしまったのは、母が亡くなってからだ。