クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~




翌日。

私達がホテルから出ようとすると、外では雨が降っていた。

ひんやりと冷たい、秋の雨だった。

「雨か…。止みそうにないな」

昨晩は、社用車で送ってもらってホテルで待ち合わせをしていた私と落ち合った雅己さん。
足がなく悩んでいると、入口にいた係員が「タクシーを手配しましょうか?」と配慮してくれる。

「あ、いえ、待って」

雅己さんが頼もうとしたところで、私はすかさず遮った。

「どうしたの?」
「あの、私ね…」

訝しむ雅己さんに、はにかんだ笑顔を向けると、私はバックから折り畳み傘を取り出した。

「傘、持ってきてたの」
「……」
「地下鉄駅まですぐそこだから、歩いて行きましょう?」

目を瞬かせていた雅己さんだったけれど、すぐにクスリと笑って「いいね」と応じた。

そうして私から折り畳み傘を受け取ると、

「そうだね。初めて会った日も、こんな雨降りの日だったね…」

しみじみとした口調で呟いた。