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【雅己side】
「妻とはいわば政略結婚だったが、私は彼女を心の底から愛していた。美しかったがお世辞にも教養に溢れているとは言えず楚々としたところもなかったが、明るく快活で太陽なような魅力を持ち、自分を持って溌剌としていた彼女に私は惹かれた。だが、そんな彼女だったからこそ、私のことは詰まらぬ男と感じたのだろう」
岸議員は、とつとつと話し始めた。
「私の家の方が強い立場だったのを利用し、なかば強引に進めた彼女との結婚生活は、当然、最初からぎくしゃくとしていた。十分に彼女に尽くし、そのうちに子でも生まれれば、彼女は私に心を開いてくれる…そう信じていたが、芽衣子が生まれてからも彼女は一向に私に心許すことはなかった」
俺は黙ってその話に耳を傾けていた。息を殺すように。
意識していないのにそうなってしまうのは、岸議員の口調が、それほどに重く苦しげなものだからだろう。
【雅己side】
「妻とはいわば政略結婚だったが、私は彼女を心の底から愛していた。美しかったがお世辞にも教養に溢れているとは言えず楚々としたところもなかったが、明るく快活で太陽なような魅力を持ち、自分を持って溌剌としていた彼女に私は惹かれた。だが、そんな彼女だったからこそ、私のことは詰まらぬ男と感じたのだろう」
岸議員は、とつとつと話し始めた。
「私の家の方が強い立場だったのを利用し、なかば強引に進めた彼女との結婚生活は、当然、最初からぎくしゃくとしていた。十分に彼女に尽くし、そのうちに子でも生まれれば、彼女は私に心を開いてくれる…そう信じていたが、芽衣子が生まれてからも彼女は一向に私に心許すことはなかった」
俺は黙ってその話に耳を傾けていた。息を殺すように。
意識していないのにそうなってしまうのは、岸議員の口調が、それほどに重く苦しげなものだからだろう。



