クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

お世話になっている店長の手前、快諾して専務の話に応対しなければならないのは解かっているのだけれど…私は動揺しきっていた。

やっぱり似ている。
こうして目の前にするとなおさらに、すらりとしているのにどこか威圧感のある背丈も、眉目秀麗という言葉に相応しい容貌も、そしてそんな外見に反して低くしっとりとした声も―――あの夜の彼にそっくりだった。

私の焦りを楽しむように専務は変わらず柔和な微笑を浮かべると言った。

「よろしければ、彼女と二人きりで話したいのだけれど、いいかな?」