クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

「だ…っ、雅己さ…っん…! 人が…」
「だめだ、ちゃんとキスに集中しろ。君は俺のものだって、ちゃんとこの場に示して…」
「や…ん…っ、っん…ん…!」

もう、取引先の視線も、競争相手の前だって構いやしない。
俺のすべては、芽衣子あってのものだ。

そこまで俺は、芽衣子を愛しきってしまっている。

抵抗しながらもさんざんに唇を貪られて、ようやく俺が解放した時には、芽衣子の息はすっかり上がってしまっていた。

今にも泣きだしそうに目を潤めて、俺の陰に隠れるように顔を伏せる。

「恥ずかしい?」と囁くと、さらに俯いて、返事の代わりにぎゅうと俺の着物の袖を握る。
搔きむしられるように可愛くて…濃厚なキスですっかり昂ってしまったのも手伝って、俺ももう余裕がなかった。

「ごめん…でも俺はまだもっと、したい」
「……」
「二人っきりなら、もっとそれ以上のことしても、恥ずかしくないよね?」

芽衣子の手を引いて、公演会場に向かう人の列を逆流し抜け出すと、タクシーを捕まえた。

車内でもたくさんキスを交わし最寄りのホテルに着いた頃にはすっかり昂りきった俺達は、肌を重ねあうことで、この夜を過ごした。