クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

ち、と思わず舌打ちした俺に、芽衣子が戸惑いの表情を浮かべる。
そんな顔も愛しくて、俺は人気の少ないエントランスの片隅に芽衣子を押しやり、その細い顎に手をかけた。

「責任を、取って欲しいな」
「…?」
「俺をここまで変えたのは君だ。俺をこんなにしてしまった罪を、君はもっと自覚した方がいい」

困惑する芽衣子を引き寄せ、俺は強引に唇を押し付けた。

「ま、って、雅己さん…こんな所で…っ」
「こんな所だから、するんだろ」

逃げる唇を追いかけ、拒む言葉を塞ぐ。

戸惑いと羞恥に潤む芽衣子の目が俺の肩越しに視線をやり、行き来する人を気にしている。
見られているのは俺だって重々承知だ。
驚く声も聞こえてくるが、そんなの、どうでもいい。