クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

私達に近付くなり、専務は穏やかな口調で言った。
くるり、と店長が振り返って愛想笑いを浮かべる。

「い、いえ、ただちょっと彼女はびっくりしているようですけれど…」
「そうですよね、突然だから無理もない。しかし、この店の売上をV字回復させた立役者と店長がお墨付きをはった方に、どうしてもお会いしたくて」

半ば茫然としている私を気遣って、店長が説明した。

「実はうちの売上が回復したのはあなたの活躍が大きいということを報告したら、専務がとても関心を持たれてね、ぜひあなたに直接会って話を聞いてみたい、っておっしゃるのよ。それで…」
「はぁ…」

という間の抜けた返事しか返せない私。